ミュルザンヌとフライングスパー、V8モデル2台試乗
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:望月 浩彦
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イギリスは誇るべき歴史的遺産を数多く持つ国だが、自動車界におけるベントレーもそのなかのひとつだといえよう。1919年、ウォルター・オーウェン・ベントレーによってロンドンに設立されたこのメーカーは、1920年代から30年代初頭にかけてル・マン24時間レースに5勝するという快挙を成し遂げ、まずはスポーツカーブランドとして名を上げた。
ところが、こういったブランドの常で幾度となく経営が悪化、ベントレー自身が他のメーカーに移るなどの紆余曲折の末、1931年にロールス・ロイスの傘下に入り、1998年にはドイツのフォルクスワーゲングループに買収されて、よく知られているように現在はそのコントロール下にある。その結果、現在の市販モデルには、フォルクスワーゲンの製品と関連を持つモデルと、純ブリティッシュな血脈を持つモデルの、2つのレンジが存在する。
前者がフォルクスワーゲンの最上級モデル、フェートンの血を引く4WDシャシー上に構築された2ドアクーペのコンチネンタルGTと、4ドアサルーンのフライングスパーで、いずれもW12ツインターボとV8ツインターボの2種類のパワーユニットを持つ。今回、箱根を舞台にした試乗で最初に乗ったのは、そのなかのV8搭載モデル2車種だった。
まずはフライングスパーV8のキャビンに収まる。全体がウッドとレザーに覆われ、そこにクロムメッキがアクセントを添えるインテリアはまさしくイギリス風のラグジュアリーな空間に仕立てられ、ベントレーを求める層のニーズに確実に応えているに違いないと想像させる。それでいてドライビングポジションはサルーンらしい比較的アップライトな姿勢に自然に決まり、そこからの視界も文句なしにいいといったところに、ブリティッシュブランドに注入されたジャーマンブランドの血筋の効果を感じることもできる。
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